クズ芸人の需要が高止まりしている。「キングオブコント2021」覇者コンビの空気階段の鈴木もぐら、同ファイナリストのザ・マミィの酒井貴士、相席スタートの山添寛、岡野陽一らはバラエティ番組の“クズ企画”の常連。コント日本一となって優勝賞金1000万円を手に入れた鈴木をはじめ、軒並み有名人になってしまったため、かつてのように借金で首が回らないイメージは希薄。だが、エピソードはどれも秀逸だ。
そんななか、群を抜いているのは岡野。「R-1ぐらんぷり2019」の決勝戦進出者だが、ピーク時の負債総額は1200万円と驚愕の金額だ。しかも、芸人で食えなくなってしまい、やむを得ず借金したのではなく、大学に通学するために地元の福井県から京都府に移り住んだころ、パチンコの沼に溺れた。
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町に張られていた「学生ローン」のチラシを見て、金を借りられることを知った。坂道を転がり落ちるのは早く、1社で20~30万円、あっという間に5社で150万円に膨れ上がった。金貸し屋から「貸してもええけど、首つらなアカンで」と言われても、満額借りたこともある。
命がけのパチンコ生活では1日13時間、開店から閉店まで店内に居座ったことがある。食事を取らず、トイレに行かず。それでも耐えられる体になった。「そんな時間があったら、1回でも多く回したい」という命をかけた執念がそうさせた。結果、独自で攻略法を編み出し、2年で完済した。ところが……。
「500円が2万円に化ける快感を知っているため、パチンコはやめませんでした。業者では利子が付くことを知り、借り入れ先を知人に変更したのです。その引っ張り方が、『このダンゴ虫を食べたらいくら貸してくれる?』とエンタメ性を持たせたもの。3万円程度を複数名からかき集めました。100万円を超える大口債権者から『担保が欲しい』と言われると、『僕の木曜日をあげます。返済するまでずーっと』という仰天プランを提案したことも」(エンタメライター)
これで契約を成立させてしまうのだから、金借りのプロ。以降は、大口債権者の井村俊哉さんの事務所のお茶くみ、宴席の盛り上げ役ほか、「死ぬこと以外NGなし」を掲げて、毎週木曜日は犬となった。
ちなみに、大学時代は4年間で0単位。キャンパスライフのすべてをパチンコに注ぎ、友人もできなかった。6年ほど京都に住んでいたが、思い出も0だった。
友人は大口、中口、小口の3種類に分けているが、クズ人気が高まった今では自身が“大口の芸人”に昇格してしまった。おまけに、タワーマンションに住む彼女と同棲中。タワマンに住むクズ芸人という新たな悩みを、今後どう解決していくか。