「ラジオNIKKEI賞・G3」(3日、福島)
現在、関東リーディングトップ(全国8位)に立つ開業5年目の田中博康調教師(36)=美浦=が、素質馬ベジャールを送り出す。前走の毎日杯2着で賞金加算に成功したが、体質面を考慮して春のクラシックを諦め、ここに備えた。厩舎の重賞初制覇が懸かる一戦に、新進気鋭のトレーナーが燃えている。
6月終了時点で21勝を挙げ、関東リーディング首位をひた走る田中博師。猛追する斎藤誠厩舎(20勝)や、リーディング常連の国枝厩舎(19勝)などを抑える堂々トップに「何とかリーディングのまま上半期を終えられましたね」と若き指揮官は胸をなで下ろす。
5月15日の東京6R(セブンデイズ)でJRA通算100勝も達成。21年の17勝を半年足らずで上回る22年の快進撃に、「厩舎のシステムがしっかりと構築されてきたからだと思います」と要因を明かす。厩舎開業時から一人として変わらない従業員とは連日ミーティングを行い、意見を交わしてきたという。「自分のやりたいビジョンに、スタッフのみんなから上がってきた意見をミックスさせたもの。その精度が上がってきた」。チームで共有する向上心こそが好結果の根底にある。
「そういう意味でも、厩舎としては(重賞を)欲しい気持ち」とトレーナーが力を込めるラジオNIKKEI賞には、毎日杯2着のベジャールを送り込む。「大型馬の割にスピードが出るし、あまり見ないタイプの馬。二の脚がついて機動力もあるので、小回りでもうまく立ち回れていい」。20回目の重賞挑戦。厩舎初のタイトル奪取で弾みをつけ、下半期もさらに進撃を加速させたい。