ボートレース70年の歴史に、新たなページが加わった。史上初、女子選手のSG優勝だ。3月21日に大村で行われた22年最初のSG戦となったボートレースクラシックで、遠藤エミ(34)=滋賀・102期・A1=が優勝を飾った。ついにボート界は新たな時代に突入した。SG覇者となった遠藤を直撃。史上初の快挙と、さらなる高みを目指し、年末のグランプリへの意欲を語った。
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-何度も言われていると思いますが、改めてSG優勝おめでとうございます。
「ありがとうございます。みんなからたくさんのおめでとうメールを頂き、感謝の気持ちでいっぱいです。みんなが喜んでくれて本当にうれしいです」
-家族も大喜びだったのでは。こんな偉業達成者が、家族というのもそうないですよね。
「えー!そうですか。でも家に帰った時は、みんな泣いて喜んでくれました。少しは家族孝行できたかな」
-少しどころではないですけどね。SGレーサーとなって何日かたちましたが、何か変わりましたか。
「うーん。取材とかは多くなりましたが、自分的には普通に過ごしています」
-遠藤さんらしいですね(笑)
「でも、もしかしたら自分って自覚が足りないの?って。周りの盛り上がり方に対して、自分は…って考えちゃいますね」
-そのくらいでないと、偉業は達成できないのかもね。SG優勝戦の1日を振り返ってください。
「忘れちゃったことが多いですが、準優勝戦の日から緊張していたし、優勝戦の日はそわそわしてました」
-ピットで見ていましたが、いつも淡々と過ごしているのに、あの時は、やっぱり何か違いましたね。
「展示が終わってからは、控室でも座っていられず、ずっと立ち上がってうろちょろしてました。まだかな、早く本番来ないかなって思いながら」
-本当にそうですね。長かったよねあの時間。
「そうですね。G1の優勝戦も緊張しましたが、あの時間はめちゃくちゃ長く感じましたね」
-そして本番です。未知の世界に突入ですね。
「そうですね。あんなに呼吸が浅くなったことがなかったですよ。今まで」
-そこまで!
「レースはターンマークを回るまではちゃんと呼吸しようと思って、呼吸を意識して行きました。1Mまではまだ緊張していたけど、2周目のホームに向いてからは、何か考えるとかではなく、レースに集中できました」
-ゴールした瞬間はどうでした。
「何か自分でもよく分かってなくて、信じられなかった」
-ゴールした時は大きく頭を下げてましたね。
「感謝の気持ちが素直に出ました」
-ガッツポーズが出るかなと思ったけど。
「ガッツポーズは、そういうキャラじゃないので(笑)。本当に自分一人では出せない結果だと思っているので」
-そうだよね。一番厳しかった準優は、6号艇に前本(泰和)選手がいて、厳しい進入になった。でも、3号艇にいた同じ滋賀支部の丸野(一樹)も、同期(102期)の前田(将太)も、ある意味、味方になってくれた形だよね。
「そうですね。みんなに助けられて取れたSGだと思うし、感謝でいっぱいです」
-目標だったSGを取りました。でもここからですよね。
「1回取ったからもういいって感じはないです。これからって気持ちが大きい。今回は全てがうまく行ったし、2回目を取ればみんなに認めてもらえると思う」
-SGを取ってさらに気持ちは強まったということですね。
「そうですね。でも私的にはいつも通りやっていくだけ。SGにしっかりと出続けて、準備をしていきたい。SGを取ったからって一番なわけではないし、取ったから上手になったわけでもないですからね」
-これで年末のグランプリ出場も見えてきました。
「そこは意識しています。こんなチャンスはないし、せっかくのチャンスをつかみたい。できれば2ndからの6人を目指したい」
-今年は大村でグランプリ(12月13~18日)です。
「大村はクイーンズクライマックスも、SGも勝たせてもらったし、相性が良く縁がある。グランプリが取れたら最高のレース場になりますね」
-一方で、女子のビッグレースもあるし、ここから忙しくなります。
「休まずに走れるのが大事。体のケアもしっかりとして、新たな歴史を作っていきたいと思います」
-みんな期待しています。