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ウクライナ原発をロシア砲撃 外相「爆発すればチェルノブイリ事故の10倍の被害に」

 ロシア軍から攻撃を受けるウクライナ南部のザポロジエ原発(ウクライナ政府当局のフェイスブックより)

 ロシア軍から攻撃を受けるウクライナ南部のザポロジエ原発ウクライナ政府当局のフェイスブックより)

 ロシア軍は4日、ウクライナ南部にある欧州最大級のザポロジエ原発を砲撃し、制圧した。同国の原子力当局は、6基ある原子炉のうち1号機の関連施設が損傷したが安全性には問題なく、周辺の放射線量に異常はないと発表した。原発は一部が運転中だった。史上初の稼働原発への軍事攻撃は、1986年のチェルノブイリ原発事故をはるかに上回る大惨事になりかねず、国際非難を招いた。

 ロシアの砲撃に原発の研修施設で火災が起きた。「爆発すればチェルノブイリの10倍の規模になる」。ウクライナのクレバ外相の悪夢のような予告に世界が震撼した。

 火災は消火され、死傷者は確認されていない。原発は職員が安全基準に従って管理しているという。

 ザポロジエ原発ウクライナ最大の出力を誇り、総電力の約2割を担う。1号機は運転を停止していたが、4号機は運転中。残る原子炉4基は停止に向け冷却作業を進めていた。ロシアは重要インフラを手中に収めることで、ウクライナへの圧力を強めるとみられる。

 国際原子力機関IAEA)のグロッシ事務局長は4日、深刻な危険が生じるとして攻撃停止を訴えた。バイデン米大統領ウクライナのゼレンスキー大統領と電話会談。両者はロシアに軍事行動をやめるよう求めた。

 ウクライナとロシアの代表団は3日、ベラルーシで再び交渉したが停戦合意に至らなかった。戦闘地域から一般市民が安全に退避できるよう「人道回廊」を設置し、付近で交戦を一時停止する方針では一致した。ロシア側に包囲され、砲撃で多数が死傷している南東部マリウポリでの実施が模索されている。次回交渉は来週初めに開く方針。

 ウクライナ側によると、中部ジトーミルでは4日、学校がロシア軍のミサイル攻撃を受け建物の半分が崩壊。首都キエフ北東側のチェルニヒウ州では3日に住宅地域が空爆され47人が死亡した。

 ロシアのプーチン大統領は3日に開いた安全保障会議で、軍事作戦は計画通りに進んでおり「全ての課題を達成しつつある」と自信を示した。

 米国防総省によると、キエフ周辺のロシア軍は、最も近い部隊でキエフの北約25キロにとどまっている。

 ◆ザポロジエ原発 ウクライナ南部にある原発で、国際原子力機関IAEA)によると6基あり、うち5基は旧ソ連時代の1984~89年に、残る1基はソ連崩壊後の95年に運転を開始した。出力は、いずれも100万キロワットで、総電力の約半分を原子力に頼るウクライナ原発として最大の出力を誇る。

 

参照元:https://www.daily.co.jp/