[画像を見る] ケニア、イギリス、ドイツの共同研究チームががオス殺しの細菌を特定した。この細菌は”
アフリカの女王”と称される熱帯の蝶(
カバマダラ)に感染し、そのメスから生まれたオスはすべて死んでしまうそうだ。メスには一切影響がない。オスのみである。
アフリカの大部分に生息する
カバマダラはスピロプラズマという細菌に感染しているが、その子供たちに特に影響はない。しかし、2種の亜種が存在する
ケニアのナイロビ周辺の狭い地域では、細菌感染によってオスが全滅するという事態が起きている。オスの卵はまったく孵化せず、お腹を空かせたメスのきょうだいによって食べられてしまうこともしばしばだという。
完全なる種へ変わる最初のステップ
王立協会の学会誌で調査結果を発表した研究者らは、この現象は2種の亜種が同系交配することのない2つの完全な種へと変わる最初のステップだと考えている。
研究チームは、オスが孵化しない卵を産むメスの染色体が劇的に変化していることを発見。非性染色体が性染色体と融合し、”ネオW”という染色体を新たに形成していることを明らかにした。
「私たちは新しい種が環境の変化に起因して発生すると考えがちですが、この事例では2種の亜種を分かつよう働きかけているのは明らかに細菌です」と研究チームの一員である
エクセター大学のリチャード・フレンチ=コンスタント(Richard ffrench-Constant)教授。
[画像を見る]細菌、スピロプラズマ
「今回の染色体融合の背後にある正確な分子的メ
カニズムはわかりませんが、交雑が起きている地域ではオスが生まれません。つまり、ここでの交尾は実際には意味がないということになります。