東京映画記者会(デイリースポーツなどスポーツ紙在京7社で構成)が制定する「第66回ブルーリボン賞」の各賞が23日、決定した。主演男優賞は「ゴジラ-1.0」「大名倒産」で幅広い演技力を提示した神木隆之介(30)が初受賞。「ゴジラ-1.0」は作品賞、助演女優賞の浜辺美波(23)と合わせ、最多3冠を獲得した。吉永小百合(78)は2000年以来、3度目の主演女優賞で、昭和・平成・令和と3つの時代をまたいでの受賞となった。授賞式は2月8日に都内で開催。4年ぶりの実施となる。
ともに初受賞となった神木と浜辺は2ショットで取材に応じ、息の合った掛け合いで喜びをにじませた。NHK連続テレビ小説「らんまん」で夫婦役を演じ、対象作「ゴジラ-1.0」でもタッグ。戦争で多くを失った男女が疑似家族から本当の家族へとなろうとする姿を繊細に演じ、大怪獣との戦いに奥行きを与えた。
「大名倒産」との2作で受賞した神木は、ヒット作に恵まれながら映画賞には見放されてきただけに「『個人賞とは縁遠いんだろうな』と思い始めていたときに受賞を聞いて、ベッドの上で喜びました」と回想。山崎貴監督からのフライング祝福メールで受賞を知ったという浜辺は「貴さんのデマの可能性もあったのでマネジャーさんから連絡がきて、2度嬉しかったです」とほほ笑んだ。
2作で長い時間を共にし、互いを知るだけに会話には年齢差を超えた尊敬とイジりが交錯する。
神木「度胸がある人だなってすごい思います。ここで決めなきゃいけないっていう見せ場のシーンでちゃんと勝負して、ちゃんと勝てる強さがある。迷いが一切ないんですよね」
浜辺「神木さんは芸歴30年のすごみを感じます。物心つく前からお芝居をしている人って、こんなにも緻密な計算をしている中に感情を織り込んでくるんだって、構造が分からないぐらいの複雑なお芝居をされる。『ゴジラ』『らんまん』の中でも進化を重ねて、さらに化け物が出来上がってしまったなという思いがあります」
再び共演するなら、どんな役がいいか聞かれると「敵対したい」と口をそろえた。
神木「浜辺さんが悪側ですね。僕が退治します」
浜辺「私はゴジラと仮面ライダーを味方につけてきたので、神木さんを更生させますね」
神木「じゃあ、僕が悪になります。正義はワイヤーアクションめちゃくちゃあります」
浜辺「正義は必ず勝つので倒しちゃいます。ごめんなさい!」
軽妙な“夫婦漫才”で笑わせたが、昨年11月末にゴジラのキャンペーンが終わった時には「8年後に会おう」と話していたという。浜辺は「やっぱり見飽きたという声がそろそろ出てくると思うので『8年後くらいがちょうどいいんじゃないか』って話していたんですが、まさにブルーリボン賞でこうやって軽口をたたき合っていると神木さんにあと3年は会いたくないと言われそうなので、12年後でいいかな」と、いたずらっぽく笑った。