食卓を彩る便利な食材「キャベツ」。千切りやサラダにして生で食べるもよし、鍋や炒め物に入れるもよしの頼れる野菜だ。
スーパーなんかでよく見かけるのは、球体を上から押しつぶしたような形だが、変わった形状の品種も。例えばこんなキャベツを見たことがあるだろうか。
上の方が、とんがっている。キャベツなのにタケノコのような形のコレは、「みさき」という品種だ。
横浜の種苗会社「サカタのタネ」が開発した品種で、1974年に発売されて以降、長らく販売が続くロングセラーキャベツ。名前はキャベツの形状が「岬」に見えることに因んでいるという。
このキャベツ、一般的なキャベツと形以外に何か違いがあるのだろうか。
Jタウンネット記者は2022年6月22日、サカタのタネに「みさき」キャベツの魅力を教えてもらった。
生食や「丸ごと調理」がオススメタケノコ形のキャベツはヨーロッパを中心に消費されており、「みさき」はサカタのタネが日本の食文化に合わせて開発した品種だ。同社のウェブサイトでは「やわらかたけのこ キャベツ『みさき』」と紹介されている。
取材に応じたコーポレートコミュニケーション部の担当者によると、一般的なキャベツと「みさき」では味や食感に違いがある。
「みさきは葉肉が柔らかく、ジューシーで抜群の甘みがあります。葉が柔らかいので生食やサラダなど、丸ごと調理もおすすめです」美味しそうだけど、いつもと違うキャベツをいきなり扱うのは難しい――そう思う人もいるかもしれないが、安心してほしい。
同社が運営する園芸情報サイト「園芸通信」では、みさきを使った料理のレシピを掲載。
みさきを半分にカットして鍋に入れる「キャベツ『みさき』丸ごとポトフ鍋」や、みさきにベーコンや粉チーズをかけてオーブンで焼く「キャベツ『みさき』丸ごとオーブン焼き」といった今すぐにでも試したい魅力的なレシピを紹介している。
ただ、調理の仕方はわかっても、手に入らないと食べられない。「みさき」には、いったいどこで出会えるのだろうか。
長距離輸送には適さないほど、やわらかい
担当者によると「みさき」は非常に柔らかいため、大量生産や長距離輸送には適さない。
「スーパーよりも地産地消型である直売所等の方が流通している可能性は高いでしょう」
出回るのは5月~7月上旬ごろと10月~11月ごろ。「みさき」を生産している人が近くにいれば手に入る可能性もあるかもしれないが、そうでなければ出会うのは難しそうだ。
――それでも、どうしても「みさき」を食べてみたい。そんな人は家庭菜園で育ててみるのも選択肢のひとつ。
一般的なキャベツより縦長で倒れやすいため、育てる際にはこまめに土寄せ(根元に土を寄せて倒れるのを防ぐこと)するか、コンパクトな外葉を生かした密植栽培(狭い間隔で植え付けて栽培すること)がおすすめ。
また、葉の柔らかさが売りなので、とり遅れないように早めに収穫するのもポイントだという。
公式ウェブサイトによると種の「まきどき」は、寒地・寒冷地では2月~7月初旬ごろ、温暖地では2月~4月初旬ごろと7月中旬~8月中旬ごろ、暖地では1月下旬~3月中旬ごろと7月末~8月下旬ごろ(いずれも目安)。
種はサカタのタネのオンラインショップで購入できる。