まさに現在、午後9時から午前5時までの外出を禁止し、仕事は原則テレワーク、外食は一切禁止、屋外運動は1日1時間というロックダウンを敢行しているのがオーストラリアだ。6月下旬にシドニーやメルボルンで発令され、すでに4カ月目に突入した。
「『国民の7割がワクチン接種しないとロックダウンを解かない』と言っていますので、ワクチン接種率を上げるためならば効果はあるでしょう(現在46.7%)。しかし感染者数を減らすという目的であれば、ロックダウンは意味がありません。ゼロコロナを目指す中国では頭ごなしに完全な都市封鎖をしますが、それこそ日本では不可能な話ですからね」(山田氏)
自民党総裁選でも争点となったロックダウンの法規制は、果たして現実的なのか。
一方、最悪の死者数を出したインドでは、ワクチン接種率が15.8%と低くても、ピーク時で1日40万人を超えた感染者が3万人程度にまで激減している。
「44万人もが命を落としました。
ところがコロナ蔓延で自然と集団免疫を獲得して、普通の生活に近くなっている州もある。もちろん感染拡大を防げなかった結果であり、日本が目指すべき方法論ではありません」(医療ジャーナリスト)
ならば、ワクチン先進国だったはずのイスラエルが急激に感染者を増やし、1日で人口100万人あたりの新規感染者数が世界ワースト1位になった日もあった。これをどう見ればいいのか。
「4月には接種率50%を超えていましたが、時間の経過とともにワクチンの予防効果は下がっています。当初95%ほど期待できた感染予防効果も、半年後には40〜50%程度に激減。さらに接種率が61.9%と当初の数字から考えると伸びは低く、反ワクチン派の感染も多かった」(医療ジャーナリスト)
これは「緊急事態」解除後の日本と重なるのではないか。イスラエルはすでにブースター接種(3回目の接種)に着手したが、それでも感染者は急増している。
「いずれ日本でも3回目の接種が実施されると思いますが、現時点で急ぐ必要性はないと思います。日本は米国より3カ月ほど遅れてワクチン接種が始まり、まだ予防効果もあるはず。効果が薄くなって流行のウイルスを抑えたい時に打つのが得策でしょう。それよりも、国民がどこまで基本的な予防対策をできているかが大切。比較的常識的に振る舞っている日本人のやり方は世界的には成功例だと思います。自信を持っていいでしょう」(峰氏)
うがい、手洗い、マスク着用。日本の基本感染対策を今こそ改めて見直したい。