道草

日々の出来事と芸能とその他

秋元真夏、高山一実、齋藤飛鳥が『乃木坂工事中』で後輩に語った「バラエティスキル」が超有能!

※画像は乃木坂46『僕は僕を好きになる (通常盤) (特典なし)』より
※画像は乃木坂46『僕は僕を好きになる (通常盤) (特典なし)』より

テレビの中の女たちvol.50 乃木坂46秋元真夏高山一実齋藤飛鳥

 芸人がテレビ番組での自分たちの振る舞いについて種明かし的に語る。そんな光景はもはや当たり前になった。ワイドショーでのコメントの仕方とか、VTRを見る番組でのワイプの表情の作り方とかを、芸人たちがバラエティで語る。バラエティでのテクニックを語ることがバラエティになる。“裏回し”なんて言葉もいつの間にか普通に使われるようになっている。

 そんな中にあって、アイドルもまたアイドルとしてのバラエティ番組での立ち振舞いの“裏”を自ら語る。14日の『乃木坂工事中』(テレビ東京系)の企画は、「バラエティ養成講座」だった。

 結成10周年を迎えバラエティ番組への出演機会も増えている乃木坂46。そこで、経験豊富な先輩メンバーがバラエティ出演時の自分なりの対処法を後輩にレクチャーし、グループ全体のバラエティスキルの底上げにつなげよう。番組冒頭では、企画の目的がそう説明された。

 先輩として登場したのは秋元真夏高山一実齋藤飛鳥の3人だ。

 まず、秋元はVTRを見てコメントをするような番組に出たときの対処法を語る。彼女いわく、コメントはバリエーションが大事。

VTRが終わってコメントが振られるときは、まずは番宣の俳優が当てられる。その人たちが一番面白かったポイントを話してしまう。そのため、映像を見ながらコメントは2つ以上考えておかなくてはいけない。

「(初めのころは)弾をひとつしか持ってなかったんですけど、番宣の人が言っちゃうっていうことに途中途中で気づいてきたんで。ひとつじゃ弾は駄目なんだと思って、V(ブイ)を見ながら二番手ぐらいに面白いやつを探して、そのことを言えるようにしておく」

 また、「番手を考えろ」とも言う。VTRが終わって一番手にコメントをするのは俳優や女優など「基本、キレイな人」。その次にアイドルがコメントして、最後に芸人が面白いことを言う。女優と芸人の間に挟まれたアイドルには何が語れるのか、ちゃんと考えておかなくてはいけない。

「VTR見てるときも、ネコが出てきて、『かわいい、もう、このネコ飼いたい』とか思ってる場合じゃなくて、ちゃんと何か考えながら見なきゃいけない」

 続いて高山は、VTRを見る番組に出たときは、番組が自分をキャスティングしてくれた意図を考えようと語る。考えた上でも自分の立ち位置として「どっちがいいんだろう?」と迷うときもある。そういうときは、スタッフとの打ち合わせのときにちゃんと聞く。また、コメントは短く感情豊かに伝えることも大事。

「VTRのコメントがメインのときとかは、長い言葉言ってもあんまり使われないだろうなっていうときとかは、『楽しかったです!』とか表情も込みで、全身全霊で短く伝えるように」

 最後に齋藤は、番組の事前アンケートの書き方についてレクチャーする。まずは、文字数が大事。単純に文字が少ないと番組側に失礼になるので、できるだけ文字数は稼ぐ。そうすると、番組内でアンケートが写真つきで紹介されるときも印象も良くなる。

 さらに、「絶対これ使われないよな」と思う内容でも、自分の思考を相手に紹介するつもりで一応書いておく。そうすると、今回は使われなくても、次の仕事につながるかもしれない。また、アンケートは読む相手を意識して書く。

「アンケートをもとに打ち合わせがあって、本番があるじゃないですか。

まずはこの大人数で(乃木坂は)やってるので、打ち合わせまでたどり着かないと、もう無しじゃないですか。だからちゃんと、これはスタッフさんが読んでる、ちゃんと人間が読んでるんだから、っていう、ちょっとパーソナルを意識した文章とかに」

 バラエティ番組の中で、アイドルがどういう位置にあるのか。大所帯のグループの中でもどうすればバラエティ的に目立てるのか――。

 そのことを冷静に認識しながら戦略を組み立てよと後輩たちに語りかける3人の言葉を聞いて、そして、そんな企画がアイドルのバラエティ番組として成立する様子を見て、アイドルもここまで来たのかと思った。

 芸人がアイドルにバラエティのスキルや心構えをレクチャーする場面はこれまでも多々あったが、アイドルがアイドルに教える構図はあまりなかっただろう。

 乃木坂46の10年間の時間の厚みを改めて感じた。